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2021年05月25日の記事は以下のとおりです。

恩物のこと

  • 2021/05/25
たんぽぽぐみの様子。ポットン落とし。赤ちゃんは穴が開いてたら手を突っ込むし、壁に扉があれば開けるし、タンスがあれば引き出しを開けて中の物を出そうとするし、積み木のピースがあれば積もうとする。

フランス革命の騒ぎの中で両親を失って傷ついた子どもたちをスイスのペスタロッチという先生が自分の農場に引き取って集団で一緒に農作業をしました。

ペスタロッチさんは一緒に農作業をする中で子どもたちに怒鳴りつけたり高圧的に命令することはなく、両親を失い泥棒をして生活をしていたような子どもたちは最初は心を閉ざしていましたが、次第に笑顔を見せるようになり、最終的に率先してペスタロッチさんのお手伝いをするようになりました。

このときペスタロッチさんの農場に留学に来ていたのが若い日のフレーベルです。フレーベルはやらされる労働ではない自発的な農作業に子どもたちを成長させる力があることに感銘を受けました。
そしてもうひとつ、穴があったら手を突っ込んだり、扉があったら開けたり、木片があれば積んでみたりする子どもの好奇心を刺激して、いろんな潜在的な力を引き出す物を意図的に作りました。
これが最初の積み木です。フレーベルはこれを恩物と名付けました。

ペスタロッチさんの取組から着想したフレーベルはドイツに帰って、園舎、園庭、畑の3点セットからなる「幼稚園」を考案して世界最初の幼稚園を開園しました。
幼稚園には畑が備わっており、たくさんの恩物(積み木)を置きました。

写真にあるたんぽぽぐみのポットン落としも担任の手作りの恩物ということになりますね。

最初の幼稚園がドイツで誕生したのが1850年代くらい。日本では幕末、安政の大獄などの騒ぎが起きていたころです。

それまではヨーロッパでは何かあると学校でも子どもたちをムチで叩くことがある教育法でした。それに子どもはひとつの産業労働力としてみなされた時代でもありました。
フレーベルはそれに異を唱えました。フレーベルは子どもたちは「花々のように育つべき」と提唱しました。

するとフレーベルの考えに反対する人々が出てきました。フレーベルの作った幼稚園は経済力のある家庭の子どもしか入園できないというのが反発のひとつの理由であったそうです。こういった恩物を揃える保育というのはカネがかかるのです。当時のドイツ政府は一時幼稚園禁止令を出しました。が、その間に幼稚園はまたたくまに世界中に広がりました。ドイツでも10年後に幼稚園禁止令が廃止されたくさんの幼稚園ができました。

恩物というのはキリスト教に関係したネーミングらしいのですが、岩崎保育園はクリスチャンの系譜はありません。

岩崎保育園は子どもたちの好奇心・探求心などを育む恩物にかなりの予算を投資しています。日本では幼稚園も保育園も同じ指針です。岩崎保育園はそこに忠実にあろうとしています。
上記はその歴史的な背景でした。







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