幼児教育では何を大切にするか~ペリー就学前プロジェクト
ノーベル経済学賞を受賞したアメリカのJ・ヘックマン教授によって1962年から始まり現在でも追跡調査が行われています。
この調査はアメリカ・ミシガン州にあるペリー小学校付属幼稚園で行われた大規模実験で、デトロイト近郊の貧困地帯で生活していた世帯の子どもでランダムに抽出された58人を対象に子どもたちの自発的な遊びの実践(幼児教育)を行ってもらい、同時に社会的スキルも教えるという日本の現行の保育園・幼稚園も現在取り組んでいることを行いました。
その結果、この子どもたちが19歳ときには幼児教育を行ったループと行っていないグループでは学校中退・留年・高校の卒業率に差が出始め、27歳と40歳時点は収入や犯罪率や持ち家率などで幼児教育を行ってグループの方が暮らし向きが良くなっているという結果が出ました。
幼児教育を行った方が学校の勉強だけではなく、社会経済的な恵まれ度合が高いという人生の長期的な影響も確認されたのです。
調査をしたヘックマン教授は、幼児教育おいてIQ(知能指数)を高めようとしても、8歳前後は幼児教育を受けていない子どもと差がなくなることに気づきました。幼児教育おいて獲得するその子の人生を良くするものはIQではなくEQ(心の知能指数)の方だと結論づけました。
EQとは具体的にどんなことを言うのでしょうか。ヘックマン教授は幼児教育よって獲得するEQとしての力を「非認知能力」であると提唱しました。「非認知能力」とは好奇心、想像力、新しいことへのチャレンジ性、コミュニケーション能力、積極性、自己肯定感などです。
そして、これらは座学の勉強ではなく、真剣な自発的な遊びによって育つものであるとわかったのです。
※このペリー就学前プロジェクトを紹介したことについて、高学歴や高収入であることを人間的価値であることを提唱する意図はありません。幼児期の遊びの優先度の高さを述べるためにここに紹介いたしました。
内閣府 ペリー就学前プロジェクト
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/
h28_kaihatsu/3_02_2_1.html