忘れるわけではない
- 2021/06/15
すみれぐみさんのお友達はお花のタネを植えて水やりにチャレンジしてます。
水やりをしてお花の芽が出て数カ月後にはお花が咲くでしょう、きれいなお花としてすみれ組のみんなに顔を見せてくれますし、野菜だったらおいしく収穫されるでしょう。
子どもたちの発達の順番として、何しても具体的なことから抽象的なことへ、という方向があります。
具体的な個物で遊びながら形・量・数を体験して算数学習に進む順番、具体的な先生やお友達との会話を通じて話し言葉を体験して文字や国語学習に進む順番、とあります。
算数や国語だけではなくて、子どもたちの発達としてはすべて同じ段階を進む、と見ます。
子どもたちには小さな体験でも大人になると思い出せないだけで、何らかの枠組み・メッセージはその人の中でずっと息づいている、と見ます。
もしこれがそうでないなら、教育・保育要領も学習指導要領も全面的に書き直さないといけないことになってしまいます。
今回のすみれぐみのお友達がタネを土に埋めて水やりのお世話をしてお花を楽しむ、という体験から何に進むでしょうか。それは子どもたちそれぞれによって違いが出てくるのだと思いますが、他のいろんな体験も折り重なって、「少しお世話をするとリターンがある」という思考につながるかもしれません。
とすれば、対人関係の場面でも受け身ではなく自分から人間関係を作っていく姿勢に転化するかもしれない。
冬になればお花は枯れてなくなるでしょう、その体験から、「今ここにあるものは当たり前にあるものではない」という思考につながるかもしれません。もちろんいきなりこんな思考にすっ飛んでいくことはないと思いますが、すると大人になって目の前の友達とか親とか社会的に接触する人たちへの見方が変わってくるかもしれません。
ほんの一例だけですけど、これを「ちょっとしたきっかけで対人関係は大きく変わるんですよ」「今ここにあるもの、目の前にいる人は当たり前にいる人ではないんですよ」と、いろんな体験を飛ばして言葉だけで教え込もうとしても、頭だけで理解しようとしても難しい、と考えます。
だから結局、難しいことはなく、子どもたちにいろんな体験を提供しよう、ということに尽きると思います。